翼を失くした天使の羽音
「ゆんちぃは、俺の白雪姫なのだ」


放心状態のわたしに、彩人くんがあっけらかんと言った。



「何……やってんだよ」


天人くんの声が遠くに聞こえた。



わたし、こういう事に慣れてないから。


軽く受け流せない。

自分以外の唇が、わたしに触れた。


くすぐったくて、温かい。

正直、胸はときめいているけど……。


嬉しくは…………ないよ。




そのとき。



「何て顔してんだよ……天人」



わたしの手を握ったまま、静かに彩人くんが言った。




「……別に」


天人くんが顔を背けた。



えっ?


天人くん……?

どんな顔、してたの?



わたしが、天人くんの方を気にしていると――。


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