翼を失くした天使の羽音
「冗談なんかじゃないよ」


トクン。


「一目見た時から、ずっと――」



トクン。



「ずっと、ゆんちぃが好き」


「!」



わたしのハートは、信じられないくらいに大きく。


ドキンっ。


跳びはねたんだ。




やだ、やめてよ。



お願いだから、天人くんが見ている前で……。



そんな、嘘のない瞳で――…


わたしを見ないで――!




「わ……たし、あの……」



ドキン、ドキン。



心臓の音、うるさい。
言葉が……見つからない。




「いらないから」


「え?」



「答えはまだいらない」



彩人くんが、返事に迷っていた、わたしに言った。




< 26 / 190 >

この作品をシェア

pagetop