翼を失くした天使の羽音
「……さん……神……さ……」


あれ?
何か声がする……。


よく聞こえない……けど。
ゆっくりと、その声がはっきりしてきて……。



「神崎さん、大丈夫?」



確かにそう聞こえた。



「へ?」

びっくりして、顔を上げると。



ドッキーン!


天人くんの、顔アップ!

が目の前にっ。



バクバク。


し……心臓に悪いっ。




「どうしたの? ボーっとして」


「な……何でもない……デス」


わたしは、視線を上げられないまま答えた。




ぼーっとしてた、わたしも悪いけど、

その原因は、

あ、あなたたち双子(きょうだい)のせいですよ!

なんて、わたしの心の叫びもむなしく、



「イラスト描けたんだけど、どうかな、コレ?」


ほんわかした空気に包まれた。



「あ、あぁ……うん」

ようやく我に返ったわたし。


……そうでした。


今、学祭のチラシを作成中なのでした。


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