翼を失くした天使の羽音
「昨日の……電話……?」


「そ、実は俺でした。天人のケータイから勝手にかけたの」


「な……っ」



何のために?



「ゆんちぃに会いたかったから」




「は……」


はい?
何、ソレ……。



やだ、わたし……。
勝手にデートみたいだ、なんて勘違いして……。


バカみたいっ。



膨らんでいた気持ちが、一気にしぼんでいく。




彩人くん、ひどいよ……。



「帰る」



そう言い残して、わたしは来た道を引き返した。


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