翼を失くした天使の羽音
「……もういいよ。そんなに謝らないで……」


「え……」


自分でも、何でこんな事言ったのか分からない。




「せっかく遊園地まで来たんだし……

遊んでも……いいよ」



だなんて……。


う……わ、恥ずかしいっ。
何様だ、わたし……。



ドキンドキンドキン。


お願い、何か言ってよ。



「ありがとう、嬉しい」



トクン。

ニッコリ、彩人くんの無防備な笑顔に、胸が高鳴る。



「行こう」

「……うん」


自然とつながれた手。


1度は突き放した手を、今。

振りほどく事ができない。



おかしいな……。

わたしの心臓、どうしちゃったんだろう?


天人くんに、会いに来たのに。

天人くんだから、おしゃれして来たのに。



……変なの。



さっきから、彩人くんに、ドキドキが止まらない――。



どうしてぇ――…?



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