翼を失くした天使の羽音



わたしは、高校に入ってから、しばらくの間――。


1人、クラスで浮いていた。



別に、いじめられていたワケでも、

無視をされていたワケでもない。




ただ――…



わたしの側には誰もいなかった。





ずっと、1人ぼっちだった。




あの頃――…


いつも平気な顔をしていたけど…――




本当は、すごく寂しかった。



1人でいる事が、怖かった。




休み時間に、わたしの机の周りにだけ、誰もいない事が……。


移動教室の時、しゃべる相手がいないまま、長い廊下を歩く事が……。


昼休みに、1人でお弁当を食べる事が……。


学校にいる間中、ずっと居場所がない事が……。




全部、怖かった――。



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