翼を失くした天使の羽音
声と同時に、わたしの腕が自由になった。
顔を上げると――。
1人の男のコが、わたしをかばうようにして前に立っていた。
この後ろ姿……!
「ゆんちぃ、大丈夫?」
言いながら振り返ったのは、やっぱり彩人くん。
「あ? ガギがカッコつけてん……」
2人のうちの色黒男が、言いかけて言葉を飲み込んだ。
――黙れ。
そんな瞳で、彩人くんが睨みつけたから。
その、あまりの迫力に。
「チッ……誰がこんなガキ相手にするかっ」
「冗談だよ、冗談」
そそくさと、男達は退散していった。