翼を失くした天使の羽音
「一緒に頑張ろうね、神崎さん」



大好きな、優しいトーンの声が聞こえて、顔を上げると……。




「た……か……と……くん……」



黒いメガネの奥、優しい微笑みを浮かべる天人くんが、


わたしの机の前に立っていた。




ど……どっきーん!!



心臓が大きくジャンプした。



「?」


戸惑うわたしを、不思議そうに見ている天人くん。



あ、あれ?


気まずいとか思っているのは、わたしだけ?


天人くんは、何も気にしてないの?



それにしても……。


一緒に頑張ろうって、わざわざ言いに来たの?

自分の席を離れてまで?



何で?



動揺して言葉が出ないわたしに、



「神崎さんが一緒なら、心強いな」


ニコニコ、満面の笑顔で天人くんが言った。



「え?」



わたしの返事を聞くことなく、天人くんは自分の席へ戻っていった。


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