翼を失くした天使の羽音
「確かに、有澤くんに気持ちが傾いているのは事実。

だけど、和孝の事、ずっと忘れられなかったから……どうしていいか、分からない」


奏子ちゃんが、空を仰ぎながら言った。


「んー…――」

こういう時、思い知らされる。
恋愛経験0のわたし――…

どう答えたらいいか、何を言ったらいいか。

本当……分からない。



「ごめんね……奏子ちゃん」

「何で優音が謝るのー」


奏子ちゃんが笑う。



「だって、わたし……何もアドバイスできてない」


わたしはシュンとする。

ごめんね……頼りない友達で……。



「もー。何言ってるの? うちは、話を聞いてもらうだけでいいんたから。

誰が何と言おうが、どうするかを決めるのは自分自身なんだから。

それより、うちにとって心強いのは、話を聞いてくれる友達がいてくれる事だよ」


「奏子ちゃん……」


わたしも、心強いよ。


隣に奏子ちゃんがいてくれて。
相談に乗ってくれて。



ありがとう。



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