翼を失くした天使の羽音
「おはよう、彩人くん。CD返しに来たよー。ありがとう」



翌日の朝。
1‐Cの教室。


わたしは、借りていたCDを差し出した。




「あー、うん……」



黙っ……。



あれ、何か……ちょっと……。

いつもと様子が、違うような……?



「どうかしたの?」


「えっ?」


わたしの問いに、ハッとしたように顔を上げた彩人くん。



「何か、今日おとなしいから……元気ないのかなって」


「そっかな……。そんな事ないよー。でも、心配してくれて嬉しい」


彩人くんが、やっと笑顔を見せた。



ホッ……。

彩人くんは、やっぱり笑ってる方がいい――。




だから、お願い…――。


今のままの、彩人くんでいて――…


この前みたいに、彩人くんを遠くに感じちゃうのは……嫌っ……。



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