翼を失くした天使の羽音
ん?

嫌……って?
何で――…?



これじゃあ、まるで……――




「ゆんちぃ?」

「え!?」


気づいた時、目の前に彩人くんの顔があった。



かあぁぁっ。


やだっ……嘘っ。
ほっぺたが……熱い。



「あれ? ゆんちぃ、すごいカオ赤いよ。もしかして、俺に惚れた……とか」


「……え」



ドキ……ン。



「なーんて、それはないか。あはは」


「…………」




ホントにわたし、変だ。


否定したくないなんて……。




「俺の事はいいから、天人のとこに戻りなよ」



ズキン。

何か、突き放すような言い方。




「天人はイイヤツだよ。真面目だし、優しいし。俺なんかより、ずっと……」


「それって……」



「ゆんちぃには、やっぱり天人が似合ってるのかな、って」



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