翼を失くした天使の羽音
「彩人には、1年前まで、付き合っていた人がいたんだ」

「――!」


やっぱり……。


「それであのピアスは、彩人が彼女の誕生日に、お互いの誕生石でもあるトパーズのピアスを贈って……


それを片方ずつ付ける事にしたらしい」




「……そう……なんだ」



ズキン。
胸が痛んだ。



「結構うまくいってたんだけど、ある事情で……彼女は彩人から離れていった。それで、それっきり」


「事情って……どんな……?」



この質問に、天人くんは答えてはくれなかった。

ただ黙って、優しく微笑んだ。


言えない、って事かな……。




「寒いから、教室に戻ろうか」

「……そうだね」




彩人くんの、昔の恋人――。
わたしには、関係ないけど。


ただ、よく分からないけど……気分が悪い。


胸の中がざわつく。


わたしの中で、何かが変わり始めている。




その夜――…
キラキラ、夜空に瞬くトパーズ色の星たちが。

とてもとても、眩しかった――。




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