翼を失くした天使の羽音
色々あるらしいけど、その中の、


――ギリシャ語の「捜し求める」という言葉からきてる――


っていう説。



コレが何となく、気になるんだ。



捜し求める。

誰を?


元カノを――って。



「そっか。見つかったんだ、想い出のピアス」


思わず漏れた、わたしの言葉に、彩人くんが驚いた顔になった。



――墓穴。



「いやっ、あのっ……えっと……」


わたしが言葉に詰まっていると、


「僕が神崎さんに話したんだよ」


天人くんが、横からフォローしてくれた。


「なっ……余計な事話すなよっ」


彩人くんが小声で怒鳴って。



「昔の事なんだから、別にいいだろ」

「よくない。勝手に人の過去バラすな」


緊迫した空気が漂う。


……どうしよう。


「あのっ……聞いちゃいけない事だったの?」


わたし、責任を感じて涙目になる。


すると。


「違うよ。僕は神崎さんだから、話したんだ」

天人くんは、こう言ってくれて。


「ゆんちぃにだけは、知られたくなかった」

彩人くんは、こう言ったんだ。



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