翼を失くした天使の羽音
わたしだから、話してくれて。

わたしにだけは、知られたくなかった。


それって、どういう事?


はぁ……ダメだ。
疑問ばかりが、増えていく――。



「で、どこまで話した?」

少し落ち着きを取り戻した彩人くんが、天人くんに尋ねた。



「心配ないよ。あの事は話してないから」

「……そっか」


秘密のやり取り。



「あの事」って、何?



気になったけど、それは聞いちゃいけない事だと思ったから、

わたしは言葉に出さなかった。



ああ……ホントに。
何も分からない……もう謎だらけ。


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