翼を失くした天使の羽音
「はぁ――…。まいった」

その夜、お風呂に入って夕食をすませると、すぐに部屋にこもった。


「疲れたな……」

ストン。
わたしは、水玉模様のベッドの上に腰掛けた。



彩人くんは、今――。

どんな想いで、彼女とペアのピアスを付けているんだろう?


そう思ったら、ズキン。
胸の奥が痛んだ。


彩人くんの心は、今でもその彼女の所から動いてないのかな?


まだ、好きなのかな?


……だとしたら、どうして?



『可愛いね。俺と付き合わない?』


――あの時も。


『冗談なんかじゃないよ。一目見た時から、ずっと――。ずっと、ゆんちぃが好き』


――あの時も。


『俺が勝手にゆんちぃを好きなだけだから。それだけだから、気にしないよーに』


――あの時も。


何で、勘違いしちゃうような事を言ったの?



彩人くんにとって、わたしの存在は、いったい何?


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