翼を失くした天使の羽音
「おいしーいッ」


ポカポカ日射しの差し込む中庭。

わたしは、お弁当の卵焼きを頬張りながら、叫んだ。



「優ー音ー……で、どうすんの?」


「あ……」



妙に冷静な奏子ちゃんの一言に、シュンとなった。



「天人くん、わたしからの告白をはっきり断ったのに……


今日は、わたしと一緒で心強いって……笑って言った」



「分かんないよね。どういう意味だろう……?」


奏子ちゃんは首を傾げる。



「わたしは……やっぱり気まずいよ……まだ、ちゃんと吹っ切れてないもん」



生まれて初めての恋。

生まれて初めての失恋。



あきらめ方を、まだ知らないわたしは、

「好き」の気持ちを持ったまま……。



目線だって、自然と天人くんを追ってる。

ただ、目が合うことはないけど……。



それなのに、さっき……。


顔色1つ変えずに、わたしの目の前に現れて……

笑顔で声をかけてきた。


わたしは、どう接したらいいの?


分からないよ……。



「……そっかー、まだ1週間しか経ってないしね……ほんと、優音ってくじ運悪いんだから」




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