翼を失くした天使の羽音
2段に積み重ねて、廊下に出してある机のせいで、少し狭くなった通路を早歩き。
そして、渡り廊下から図書室の裏までは走った。
外の空気が、ほんのり火照った頬を冷やしてくれる。
パリ――パリッ。
落ち葉を踏み鳴らしながら、
たどり着いたその場所には人影が……。
あの大きな銀杏の木の下にもたれて座っているのは、
彩人くん。
わたしは、そっと近づきながら、
「彩人くん!」
名前を呼ぼうとしたけど……それをやめた。
彩人くんの手に握られていた、ある物に気づいて……。
写真――?
わたし、両目とも視力が2.0だから、きっとそうだ。
――誰の……?
考えようとして、怖くなった。
彩人くんの、その写真を見つめる瞳が――切なかったから。
そんな、寂しい瞳をしていたから……。
そして、渡り廊下から図書室の裏までは走った。
外の空気が、ほんのり火照った頬を冷やしてくれる。
パリ――パリッ。
落ち葉を踏み鳴らしながら、
たどり着いたその場所には人影が……。
あの大きな銀杏の木の下にもたれて座っているのは、
彩人くん。
わたしは、そっと近づきながら、
「彩人くん!」
名前を呼ぼうとしたけど……それをやめた。
彩人くんの手に握られていた、ある物に気づいて……。
写真――?
わたし、両目とも視力が2.0だから、きっとそうだ。
――誰の……?
考えようとして、怖くなった。
彩人くんの、その写真を見つめる瞳が――切なかったから。
そんな、寂しい瞳をしていたから……。