翼を失くした天使の羽音
「サラとは、俺が中2の時、父親の会社で初めて会って……何回か会ってるうちに、告白された」


「……うん」



「俺も気になってたから、付き合い始めたんだ」


「……うん」



「サラと一緒にいると、毎日が楽しくて……ずっと隣にいてくれると……信じてた……」



すごく懐かしそうに話す彩人くん。
だけど、次の言葉が出てこない。



やっぱり、話したくないのかな。


わたし、無理矢理聞こうとしてる……。



本当に、いいのかな?

わたしなんかが、彩人くんの心の中に踏み込んでしまっても……。



「あの……」

辛いなら、無理に話さなくてもいい。



そう言おうとした時。


「……ゆんちぃだから、話すよ」



彩人くんが静かに言った。

その言葉が、戸惑っていたわたしの心に響いた。


サラさんとの間に、いったい何があったのか。

ちゃんと聞いて、受け止めよう、そう思った。




「……サラはね……」


しばらくして、彩人くんが口を開いた。


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