翼を失くした天使の羽音
「サラに連絡もせずに……。ケータイに着信が入るまで、気づかなかった……約束の時間を過ぎてた事に……」



話が進むにつれて、彩人くんの声が沈んでいく。




「俺、慌てて待ち合わせの場所に向かった。

信号の向こうに、サラの姿を見つけて……すごく待たせた分、急がなきゃって……

信号の色が見えてなかった……」



!!!



「……それじゃあ……?」


「あの人は、俺を庇って事故に……っ」




そんなっ……。

その事故のせいで、記憶が消えた――。



「事故の後、何度もサラに会いに行った……ちゃと謝りたくて……

でも、その度に俺の事なんて知らないって言われた。

俺の事だけを知らないって……」



「え?」



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