翼を失くした天使の羽音
こうして、学園祭2日目も無事に終わった。


この日は片付けが長引いて、家に帰り着いたのは夜の8時半だった。



部屋から眺める夜空の星。


「きれ――――…」


だけど、あまりにキレイすぎて、心が壊れそうだよ。

今日のわたし、途中から「わたし」を演じてた。


泣きたいのを我慢してたら、心から笑えなくなってた。

作り笑顔でそれを隠しながら、最後まで演じきったわたしは名女優だよね?



そうでしょ、お星様?



キラキラ…――☆


何億光年もの距離を超えて、星たちの光(こえ)が届いた。


『泣いてもいいのに』って……。



そうだね。


もう我慢しなくてもいいのに。
誰も見ていないのに。


どうしてかな?
素直に泣けない。


ううん。
心と一緒に、涙も凍りついたんだ。


< 97 / 190 >

この作品をシェア

pagetop