わがまま彼女
2
「優斗ーっ!」
「お前声でけーよ」
放課後、俺が玄関に行くと咲季が俺の名前を呼ぶ。
でかい声で。
付き合うようになってから咲季は玄関で俺のことを待っている。
そして俺の姿が見えるといつもでかい声で呼ぶ。
「ねぇ今日うち来ない?」
玄関を出ると腕を絡めながらそう言ってきた。
「うーん。どうしよっかな」
「えぇーなにそれっ。ねぇ来て?」
上目遣いで俺を見てくる咲季。
やべ・・・。
俺はとっさに目をそらした。
「・・・お前そういうの、やめろ」
「え?」
「だからっ、その目とか・・・」
多分こいつは無意識。厄介すぎる。
こいつは無意識なのに俺はそれにドキドキしてるなんてダセェ。
「ねぇーってば!来るでしょ?」
咲季は組んでいる腕を乱暴に振りながら俺の顔を覗きこむ。
「はいはい、行きますよ。
その代わり襲われても知らねーよ?」
「・・・ばか」
咲季は顔を赤くしながら下を向いて言った。
「なに赤くなってんの」
「な、なってないし!」
咲季はこういうことを言うといつも顔を赤くする。
それが可愛くてついからかってしまう。
けっこう俺ってSだなって最近気づいた。