お嬢と執事
「咲…?」
「優しくしないで…陸が死んだのはあたしのせい。陸を殺したのはあたしだよ。」
「咲っっ!」
「だからもう私と関わらないで。お願い!」
「咲のせいじゃない。アイツはお前の幸せを願ってる。だからっ」
「違うよ!違う…。私にそのことを黙ってたのは心配とかじゃない。本当は助けてっていう合図だったんだよ。」
「は?」
「再開したとき陸の顔を見てなんとなく分かった。前の陸とは違ってた。痩せてて、腕を掴まれたときも前より弱かった。私よりは強いけど。」
「・・・。」
「なのに気付かないフリしてた。もうずっと一緒にいるのに、大丈夫の一言もかけてあげられなかった。」
「っ…だからって。」
「私…ここ出てく。」
「え?」
「ごめんね。今まで夢のような時間だった。幸せすぎて。陸が辛い想いをしたのに自分だけ幸せなんていけないよ。だから、明日にはここ出てくね?本当にありがとう。」
「おいっ!行くとこあんのか?あんで明日なんだよ!」