お嬢と執事
奏汰は俺の実の弟。
というか正式に言うと双子の弟。
しかし、俺はその家が嫌で中学2年生のときに家を出た。
理由は俺と弟・奏汰の差別。
奏汰は親の言うことに全て従い、歯向かおうとはしなかった。
だけど俺は親父に反抗し、いつの間にか親父は奏汰だけを可愛がるようになった。
俺には見向きもしない親父に腹が立ち、家を出た。
俺はあの時、奏汰に嫉妬していたのかもしれない。
もちろんそれから親父とも連絡が途絶え、家にも全く帰らなくなった。
弟の奏汰にもあれ以来会っていない。
そして俺の兄貴の怜汰にも会っていない。
俺は心から家族と言える人はいないんだ。
彼女の話を聞きながら、なぜかそのときの自分と重ね合わせていた。