暗闇の廃校舎【短編】
廃校舎跡地――
ここへ来るのは、一ヶ月ぶりだ。
そこかしこに解体した跡があり、剥き出しのコンクリートの残骸が残っている。
すっかり更地になっていて、元は心霊スポットだったとは思えない位、日当たりが良く、穏やかな風が吹いている。
いい天気だ……
マヨちゃんも……廃校舎と一緒に消えてしまったのだろうか。
それとも、まだこの跡地で友達を探している……?
綺麗に繕われた人形を、そっと、跡地の真ん中――
廃校舎があった辺りに、菊の花束と一緒に置く。
お線香を一本立てて、火をつける。
ただの――自己満足だ。
俺には霊感も、ここにいるという霊を成仏させてあげるだけの力も無い。
だけど、もし、彼女……マヨちゃんがまだここで、友達を探しながら迷っているのであれば。
一緒に送ってあげたい。
人形に火をつけ、手を合わせて目を閉じる。
しばらくして……