暗闇の廃校舎【短編】
気配
二階にあがり、一部屋一部屋、中に入りライトを当てて調べて行く。
長く放置されている廃校舎内はどの部屋(元は多分教室)も荒れ放題で、机や椅子もボロボロの状態で放置されていた。
ライトが当たる場所はどこも厚くホコリが被っていて、少しかび臭いような臭いがする。
「……お兄ちゃん」
「何?」
調べ終えた部屋を出ようとすると、後ろから上着の袖を掴まれる。
「怖い……嫌な感じがする」
「え……」
マヨちゃんを見れば脅えているように表情を歪ませ、体も小刻みに震えている。
この様子……この子は何か感じるのか?
ゴクリと、唾を呑む音が耳の奥に響く。
「……どこから?」
自然と頬が緩む。
今度こそ、今度こそ本物かもしれない。
だけどマヨちゃんは答えずにうつむき、ふるふると首を何度も横に振る。