暗闇の廃校舎【短編】
ノイズ
三階――
二階と同じく、一部屋ずつライトを当てながら隈なく調べていく。
『ドこ……デてキテよォ……』
「マヨちゃん、机の下にはいないんじゃないかな……」
ボロボロの机の一つ一つ、頭から顔を突っ込んで探している。
一応、ライトを当てるけど……。
『ア……コ、チイ…さ、い、ラ……』
「……え? 何?」
ザザ……と、ノイズのような音が、マヨちゃんの声と混じって聞こえる。
机の下から這い出し、マヨちゃんはポツリとつぶやく。
「あの子、小さいの……」
今度は……ノイズは聞こえない。
たまに、さっきみたいにマヨちゃんの声が聞き取りにくくなる。
「友達の事?」
「……これくらい」
俺の方を見ないまま“これくらい”と、右手を差し出される。
手のひらは軽く輪を作るように握られていた。
片手で持てるくらいの大きさ……?
「友達って、人形……?」
こっくり、と彼女はうなずく。