オオカミ少年
「お姉ちゃんも恋すれば分かるよ」
モヤモヤした私は、悔しいことに恋愛経験豊富な奈美に尋ねた。
「…恋、かあ。どいしたら好きな人出来るの?」
と、本気で聞くと行きなり奈美は近くにあったクッションを私に投げ付けた。

え………?
ビックリして奈美を見れば、奈美は眉間にシワを寄せていた。

「何も分かってないんだから!!恋って言うのはね、気づいたらしてるもんなの!!…だから、無理して作る必要もないんじゃない?」
…奈美の割にはいい事言うじゃん。

「奈美は、今の彼氏のこと好きなの?」と聞けば、
「当たり前じゃん!!奈美、好きじゃない人と付き合うほど軽くないし~」
と、更に眉間にシワを寄せた奈美を見て、何か意外と思った。
まあ、口に出すと今度は、クッションじゃなくてパンチが飛んできそうだから言わない言わないけど。

「…付き合って、どうするの?」
「デートとかするのっ!!」
私の疎い質問にイライラし始めた奈美をよそに私もめげずに質問を投げかける。
「何のために?」
と、言うと奈美はまた、クッションを私に投げ付けた。
けど、予想していた私は何とかクッションを避けることに成功した。

「何のためって…。それは愛しあってるからじゃないの?」と、まさかの答えに戸惑う。
「あ、愛しあってるって…!!」

「あ、奈美、これからデートなんだ♪行ってきま~す♪」
と、さっきまで眉間にシワを寄せていた奈美はすっかりご機嫌に私の部屋から立ち去った。


恋っていうのは、気づいたらその人を好きになってる、…か。
愛しあってるから、デートとかキスとかするのか…。
やっぱり分かんないっ!!

私は、ベッドに寝転んだ。

…今は、恋とかよく知らない。
けど、私にもいつか恋が分かる時が来るのかな?
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