オオカミ少年
体育委員担当の教室に着き、クラス順に椅子に座った。
「今日って何、話すんだろうね」
逞が、そう声をかけた。
たった、それだけの事。なのに私の胸はトクンッと言う音をたてて弾んだ。
「た、体育祭のこととかじゃない??」
「ああ、そっか」
なんて話しているとガラッと勢いよくドアが開いた。
びっくりした、と思い音がした方向を見ると…、
そこには竹内廉が居た。

ま、まさか、委員会まで一緒なわけ!?
もう最悪…、神様、イジワルだ…。

私は竹内廉に顔を見られないように机に俯せになった。
「…?どうかした?」
と言う逞の言葉にも今は答えられない。
とりあえず、こうしたのは良いものの、ずっとこうしているわけにはいかない。でも、しばらくこうしておこう…。
と思ったけど私の周りから見たら変な行動は無意味だった。「おい」
頭上から私の大嫌いな奴の声がした。
「…」
けど気にせず無視する私。
それに腹を立てたのか、
「…俺が気づいてないとでも思ってんのか。苺パンツ」
と無愛想に言う。
…苺パンツ!?
私は、その言葉に反応し勢いよく顔をあげた。
そして竹内廉を思い切り睨む。
「苺パンツじゃないしっ!!毎日、苺パンツ履いてるわけないでしょ!?第一、私の名前は苺パンツじゃないっつーの!!」
しまった…。
言ってしまったものはもう仕方ない。
竹内廉に反抗したあの日以来、思ったことが声に出るようになってしまった。

私は、もう一度、竹内廉を睨んだ。
「可愛いげねーな。じゃ、何て言うんだよ」
と私に負けないくらい冷たい目で私をムカつく。

「私の名前は、な…」
私が名前を言おうとした時だった。
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