オオカミ少年
中学生の頃、通っていた道とは反対の道を通ると、まだ咲き誇りきっていない桜の木が並んでいた。
…綺麗だな。
桜に見とれていた私は角から出てきた人に勢いよく打つかってしまった。
「痛っ~い」
私は思わず尻餅をついてしまった。
思いのほか、お尻がジンジン痛む。

とりあえず謝ろうと思い顔を上げると私と同じくらいの歳の男の子が私を見下ろしていた。
「す、すいません!!」
「…ちゃんと前見て歩けよ、苺パンツ」男の子は冷たい目でそう言うと、謝りもせずに平然と立ち去った。
…何、あの男!?
謝ったじゃん!!
なんて頭の中でキレている場合じゃなかった。

…んっ?苺パンツ!?私は急いで足を閉じた。
…最悪っ、尻餅ついた時にアイツに見られたんだ!!

私は立ち上がりスカートについた砂を軽く払った。
…まあ、いいや。
私には楽しい高校生活が待ってるんだし!!
不幸は幸せの途中ってよく言うし!!
そう思い再び歩きだした。



「新入生の皆さん、こちらに並んでください」
そう言われ、私はクラス順に並んだ。
なんか中学の頃の入学式を思いだす。
…なんか新鮮な感じ。

周りを見渡すと知らない子ばかりだ。
…皆、オシャレだなあ。
こんなに気合い入れたのに全然、駄目で自分だけ浮いているようで恥ずかしかった。

何てことを考えていると、
「新入生、体育館に移動します」
と言われ流れに任せて歩きだした。
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