オオカミ少年
帰りの会が終わり図書室へ向かう私と逞。
そんな私を見て葵はガッツポーズをし口パクで『頑張れ』と応援してくれた。
そんな葵を見て少しニヤけてしまった。

私は逞の横に座った。
「今日は何やろうか」

下を向いて尋ねる逞。

…まつげ長い。
そう思い少し弾む私の心。

「…逞、私ね」
もう理性を保てない。
駄目だ…。
私の唇が勝手に動く。
「私ね…、逞が」
す、と一言を言うまえに逞の顔が目の前に来た。
え…?
と思った時には私は押し倒されていた。

…何??
私、何されてるの??
気づけば私の上に逞が跨がっていた。

「…逞?」
戸惑いながら口を開くと逞は私の唇を塞いだ。
昨日の竹内廉とのキスが脳裏に現れる。
…気持ち悪い。
望んでいた逞の口づけは想像してたのなんかじゃなくて嫌だった。

「嫌っ!!」
気づいたら私は逞を押し飛ばしていた。
…これは悪い夢だ。
そうであってほしい。
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