XO醤
さて、テントの中では皆険しい顔つきで話し合いが始まっていた。

「白鳥とは全面戦争で争うしか、ないと思われる」

奇術師ヒムラが言う。

「だけど、むこうのボスが厄介なほど強いからなぁ」

シュウジが口を挟む。

「いずれにせよ黒猫、に 喧嘩を売ったからには、後悔してもらわねばならぬ」

コウ爺が、ドスの効いた声でそう言うと、占い師アキが、

「シュウちゃんのコネを利用させてもらいましょうよ」

と言った。

シュウジは

「それだけはごめんだ、親父に頭下げるなんてまっぴらだし、こちとら家出の身だ」

と言い返した。

「白鳥のボスの使う剣技って、ヒムラさんの奇術でどうにかなるレベルじゃないの?」

シュウジが尋ねる。

「ミーの奇術では攻撃を防ぐのが精一杯だった」

「そうか」

「八方塞がりね」

みな息をおとす。

「そもそも白鳥のボスって何物なんだ?一回すれ違ったことあるけど、すげー殺気だったし、なにより肌の色が紫だったのが気にかかった」

シュウジが言うと、コウ爺がそれに答えた。

「奴は、いにしえの魔族 ダークシェイドの末裔じゃと言われておる、腕を斬られてもまた新しくはえ、銃弾に撃たれても、はじき返す、まさに魔人」

「そんな魔人が白鳥って組織名、つけるかね」

「同感」

「三日後、黒猫のアジトに攻めてくるんだってご丁寧に宣言してるんだから、罠でも仕掛けて生け捕りにすりゃーいいじゃん」

「それはもうすでにやっとるが、白鳥のボスは空も飛べるらしい」

「アニメの世界だな」

「弱点とかないの?」

「ウイークスナイパーを使えば分かるじゃんか」

ウイークスナイパーとは相手のスナイプすることで相手の弱点が分かる、銃のことである。

「なるほどのぉ、しかし、それには事前にスナイプする必要があるのう、
気づかれずにな」

コウ爺が、髭をさわりながらそう言った。
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