XO醤
「じゃあ俺がなんとかするよ、いいだしっぺだしな」

シュウジが言うとコウ爺は頷き、

「危険じゃが、頼む、決行は明日深夜とするが、いいかの?」

「おう、任せておけ」

シュウジは調子よくそう答えたものの、白鳥のボスは、得体のしれない、魔人だ。殺されるかもしれない、不安に襲われていた。

そして、一同は解散した

シュウジはウイークスナイパーを手にとると外へ出た。

「シュウちゃーん」

「ぼっちゃーん」

ミキがウイークスナイパーに真っ先に気づき、

「銃なんて、何につかうの?あの変なやつらと戦うの?」

と聞く。

「ああ、あいつらはこの街を支配して、根城にするつもりさ、その後は貴族街にも攻めいるだろうさ」

内藤はハテナマークだ。

「ぼっちゃん、詳しく説明していただけますか?事情によっては黒龍が動かなければならない、可能性もあります」

シュウジは内藤に渋々、事の経緯を話した。白鳥のボスへの恐怖も少なからずあったのだろう。もし黒龍が裏で動いてくれたら、これほど心強いものはないと、幼いころから内部で黒龍を見てきた、シュウジには分かっていた。

「ぼっちゃん、それにしても何故、貴方をぼこぼこにするような連中に肩入れなさるのですか?それが不思議でならない」

内藤が言う。

「俺は、小さいころから恵まれた環境で、育ってきた。だから、映画なんかで、描かれる、スラム街ってとこに、なにか憧れに近いものを感じてたんだ。実際、街の人たちは粗暴だけど、温かくて、居心地がよかった。色んな出会いもあった、家を飛び出して二年たつけど、俺はもう、この街の一員であり、家族なんだ、そんなこの街の危機ほおっておけないだろ?黒猫はあんまり、好きじゃないけどさ」

シュウジがそう言うと、内藤は頷き、

「では、一部始終を、報告に本部へ戻ります、ぼっちゃん、ご立派になられましたね、くれぐれもお気をつけて」

と涙ぐみながら去っていった。

するとミキがシュウジのシャツの裾をグイグイとつかみ、

「シュウちゃん、約束は?」

と物欲しげな顔。

「分かったよ、夜だからどっかそこらでいいだろ?」

と言うと、ミキは嬉しそうに、

「うんっ!」

と答えた。
< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop