XO醤
決戦
スラムの街の朝は早い、朝6時には朝市が始まる。そして子供たちはラジオ体操。食堂なども同じころはじまる。

「おっちゃん、炒飯と餃子!」

「おう、シュウちゃん、今朝はあんまり顔色がよくないねぇ」

ボロい食堂の親父が、確信をつく。

それもそうだ、今夜には得体のしれない魔人をスナイプして逃げ帰らなければならない。更に昨日のこともあり、シュウジは精神的にまいっていた。

「うっせー、早く炒飯食わしてくれ、豆板醤とかXO醤ってやつおおめでね、よくわかんねーけど」

「隠し味だからね、シュウちゃん、あんまり思いつめちゃダメよ」

親父はそう言うと厨房へ入っていった。

店に相応しい、ボロい年代物のテレビがニュースを伝えている。

「次のニュースです、国際シンジゲート、黒龍のボス、大春雅義氏が何物かに狙われ重症を負わされた模様です」

シュウジはテーブルを叩いて、

「なんだってー!」

といきり立った。

いかに不仲とはいえど、親父は親父、いてもたってもいられなかった。

シュウジは店を飛びだした。

そして、テントに戻り、 奥のほうにしまってあったバイクを引きずりだし、ガソリンを入れ、直ぐさま走り出した。

国道に乗るには、検問をすぎなければならない。
黒龍のボスが襲撃されたとあってか、検問所も物々しい。

シュウジはギアを最大にあげ、フルスロットルで突っ込んだ。

検問所の遮断バーを折りながらなんとか、国道に出た。後ろからは警備局の連中が追いかけてくる。シュウジは国道から、中央高速にのり、全速力で黒龍本部へと向かった

なんとか、警備局の連中を引き連れつつ、本部へと、つく。シュウジはバイクを降り、黒服の門番へと駆け寄り、

「親父はどうした?」

と聞く。

黒服は上と連絡をとり、

「さあ、中へどうぞ、後始末は任せて下さい」

と言い、シュウジを中へ入れた。

< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop