『アイシテル』を忘れない。
嘘でもいい。
「…沙雪。」
那智が僕たちを見て言った。
僕たちを見た途端に那智は夏音を自分の体から離した。
「悠…お前、何してんの?」
那智は明らかに僕を軽蔑した目で見ている。
「なっ…お前、言っただろ?」
僕が少し声を荒げて那智に言うと、沙雪が手を握る力を少し強めて言った。
「那智こそ、何してんの?私の親友と抱き合って。意味解んない。」
「ち、違うの!これはね!」
冷めた表情の沙雪と焦っている夏音。
「…那智、ねぇ?何してたの…」
「お前に関係ないだろ!?お前だって悠と手繋いでんだろ?」
そう言って那智は僕と沙雪の手を引き離した。
「那智っ!?」
夏音が那智を驚いた様に叫んだ。
気付けば僕は那智に殴られて居た。
「何すんだよ、」
「お前何人の彼女に手出してんだよ?」
「違う!…那智っ!」
今度は沙雪が那智を捕まえた。
「…那智は、私が悩んでたの知ってる?那智が、浮気してたのも黙認してた…けど、疲れたよ。」