ウブ恋ー君は照れ屋なヤンキーくんー

「椿くん!」


屋上に入るなり直ぐに見つけた、柵に寄りかかって飴を舐めている彼。

河野椿くん。
あたしの片思い相手。かれこれ2年も想いを寄せている。気づいてくれないのが謎。


金色の髪が太陽に照らされてキラキラさせながら、垂れ目がちな大きい瞳があたしの方を向いた。


「お、久しぶりー。2.3週間振り?」

「そうだねー、メールしてたから久しぶりって感じもしないんだけどね」

「ははっ、確かに!」


ドキドキする。ずっと会いたかった人。
夏休みは会えないで終わるんじゃないかって思ってた。

嬉しい。

目の前に椿くんがいることが、話せていることが、すごく幸せ。会いにきて良かった。


「相田も補習なの?」

「ううん、あたし真面目だから補習受けるような子じゃないもん」

「うわ、自分で真面目とか言っちゃう?」


くしゃと笑った椿くんにあたしはキュンとときめいた。


椿くんは1年生の頃からあたしのことを苗字で呼ぶ。
それが少し距離があってさみしい。
呼び捨てにしてと頼んだこともあったけど癖みたいなものだからと上手く交わされたこともある。


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