ウブ恋ー君は照れ屋なヤンキーくんー
気づいたら椿くんとの距離は数センチしかなくて、目の前は椿くんの胸元だった。
ワイシャツのボタンが二つ開いていて緩く絞められたネクタイ。そのわずかに上を見れば、鎖骨が露わになっていて思わず熱が急上昇。
「あ、の……つばきく…」
「こんなこと、相田にしかしないよ」
ぎゅっと抱きしめられて、でも言葉の意味があたしの思ってることと同じなのかわからなかった。
それでも、今のこの状況がなんとなく嬉しくて恐る恐るあたしも椿くんの背中に手を回してみた。
そうすると一瞬体を強張らせた椿くんはまたより一層あたしを抱きしめた。
自惚れてもいいかな。
椿くんもあたしのこと好きなんだって思ってもいいのかな。
あたしが好きだって言ったら、椿くんはもっともっとあたしを抱きしめてくれるかな。
「……相田…」
ドキドキ。
高鳴る鼓動はきっともう椿くんに伝わっちゃってるんだろうな。
少し離れたとき椿くんを見上げると、彼の顔はほんのり赤かった。