ウブ恋ー君は照れ屋なヤンキーくんー
「………」
「………」
まだかまだかと言わんばかりに沈黙が続く。
見つめあってるのに、あとちょっとでこの距離も友達から恋人へと変わるのに、椿くんは顔を徐々に真っ赤にして口をパクパクさせるだけ。
……ヘタレ。
椿くん、一言言うだけなんだから頑張って。
ずっと思ってた。いつか好きな人があたしのことを好きになってくれたらいいなって。大事にしてくれたらいいなって。
好きな人からの「好き」はどれだけ嬉しいものなんだろうって。
だから、今この瞬間を凄く待ってたんだよ。
「…あの…っ…相田…おれ!」
「つばきー。今日彼女んとこ寄ってくから帰り買い物付き合ってー」
きた!ってところで邪魔が入る。
それは笑顔で屋上に入ってきた優太くんの所為だった。
つい睨みつける。
椿くんはあたしの肩に顔を埋めてうなだれていた。
「おっ、おめでとうって言った方がいい?」
「…お前があと5分遅れて来てくれたら言ってもらいたかったよ!!」
「は?言えてねぇの?ヘタレだな」
「うるさい!!!」
空気を読んで入ってきてくれなかった優太くんも、いつまでもハッキリ口にしない椿くんも、どっちも悪いと思うのはあたしだけかな。