ウブ恋ー君は照れ屋なヤンキーくんー
「ほら、俺が承認者になってやるからとっとと告れ」
急かすように椿くんに詰め寄る優太くんに、椿くんは逃げるようにあたしを引っ張って優太くんの横を通り過ぎた。
「っ…誰がお前なんかの前で言うかよ!」
グイグイと引っ張られて屋上を出たあと、あたしは椿くんと空き教室に入った。
暑さで顔が赤いのか、それとも優太くんが入ってくる前までの火照りがまだ残ってるのか、椿くんは耳まで赤くしていた。
ちょっと居心地が悪そうな雰囲気の椿くんは、遠慮がちにあたしの手を握りそっと引き寄せた。
「…ごめん」
「…ん?」
「俺が、早くしないから」
…それは、告白をってことでいいんだよね?自分でもちゃんと自覚してたんだ。
「んーん…。いいよ、気にしてない」
いや、本当はかなり気にしてたけど。
それでも椿くんがものすごく申し訳なさそうに落ち込んでたからそんなこと言えなくて、むしろ可愛く見えて、あたしの肩に顔を埋める椿くんの頭を撫でた。
ギュッと抱きしめてくれる椿くんはきっと顔を赤くして撫でられてることに恥ずかしがってるんだと思う。
「ふふっ」
「…何笑ってんの」
「椿くん、可愛いんだもの」
「男に可愛いは禁句だ」
その通りね。でも本当にそう思うから許してね。