はちみつラバーズ
とりあえず手を差し出せば、ぎゅっと握り返してくる。
それを確認してからゆっくり歩き始めた。
「リナちゃん、やっぱり壱成がすきなんだね」
「ああ、リナちゃんっていうのか」
リナちゃん。確かに昔聞いたような、聞いてないような。
「…壱成やっぱりあたしの部活待たないでっ」
「それは無理」
それだけは譲れない。こんな真っ暗の中ひとりで帰らせるなんて。
亜紀は俺を縛っていると思っているだろうが、俺だって十分亜紀を縛っている。
ひとりで帰らせるのも心配だし、他の男に送ってもらうのも論外だ。
「だって、きっとリナちゃん毎日来るもん…」
「大丈夫だから」
「わかってる、けど。
…ああだめだ、心狭いあたし」
「別に妬かれるのはいいって」