生きていて、育っていて。
今日の遊稀は、結構テンションが高かった。


このテンションが、教室でも続くかはまだわからないけど、遊稀ならやっていけるだろう。


「ただいまー。」


「お帰りなさい。」


両親は学校でどうだったかは聞かない。もし学校で嫌な事があったとしたら、それをぶり返すような行為が嫌いだからだ。


「ねぇねぇ。」


遊稀が俺に話しかけてきた。


「何?」


「お母さんたちにさ、携帯買ってもらっていいか、聞いてみない??」


「あ、俺もそれ言いたかったんだ。」


「じゃぁ言いに行こうよ!!」


俺たちは部屋を出て、母さんと父さんのところに行った。二人とも、テレビを見てくつろいでいた。


「なぁ母さん父さん。」


「ん?どうしんた?」


「あのな、明星学園って、授業中ロッカーに入れとけば、携帯OK何だって、だから、買ってくんない??」


ヤバ。遊稀のもって言うタイミング逃しちまった。


「そうねぇ…部活も始めたら遊稀も心配だし...」


「そうだな!買いに行こう!!」


案外あっさりとOKを出してくれた。


「ただいまー。」


ちょうど姉ちゃんが帰ってきた。


「お姉ちゃんお帰り!」


遊稀は姉ちゃんが大好きだ。この家に来て、一番最初に懐いたのが姉ちゃんだと思う。


「お帰りなさい、今ちょうど二人の携帯を買おうって話してたところなの。」


「マジ?あたしのもちょうど壊れたんだよね…いい?」


「ちょうどいいわね!じゃぁ買いに行きましょうか。」
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