生きていて、育っていて。
気づいたら私は保健室のベッドにいた。
そばには玲音が私の手を握ってくれていた。


玲音は私が起きたのに気づいて、


「遊稀!」


「玲音...私、どうしたの?」


「屋上で倒れちゃったんだよ。大丈夫か?」


「大丈夫...迷惑かけちゃってゴメンなさい...」


「俺は大丈夫だから!ちょうどあの教室に行かなくて済んだしな!」


「今何時!?」


「今?今は...昼休みくらいかな??」


「そっか...昼飯食べようぜ!」


「お弁当教室...」


「俺が持ってきてやるから!待ってろよ!!」


そう言って玲音は言ってしまった。


「ありがとう…」


私はいつも、お礼をすぐに言わないで、影でしか言えない。過去のトラウマで。


でも私の家族は許してくれる。

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それは、私が公園で遊んでいて、お母さんからもらったシュシュが落ちてしまった時、拾ってくれた子に、私が「ありがとう」と言ったら、その子のお母さんに、


「この子に話しかけないで!この人殺しが!」


その日から私は「ありがとう」と言えなくなってしまった。


そんな私の心の棘を七瀬家は一つ一つ溶かしてくれたんだ…


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