生きていて、育っていて。

新しい家族

俺の家に彼女が来ると知ったその日から、俺は彼女を守ると誓った。


小さい頃から俺はずっと彼女を見てきた。


幼馴染だったからってだけでも、誰よりも彼女のことを知っている。


彼女は俺の家に来てから、数年間、ずっと一人で、独りで。


俺は守ると決めたのに、そばに居てあげられなかった。


"あなたは...誰?"


初めて俺の家に来たときに、彼女は俺にそう言った。


流石にショックが大きかった。


でも、俺のショック以上に彼女は辛かったんだと思う。


月日は流れ、両親から彼女が正式に俺の家の家族になると言われた。


その事を家に帰ってきてすぐ彼女に知らせた。


あの時の彼女の顔をまだ覚えている。


この家に来て、初めて笑ったあの笑顔を。
< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop