貴女はシンデレラ、私はジュリエット
「でも、ジュリエットは素敵だと思うよ」
あの子は微笑んだ。
どっちなのさ、
私がそう言って笑うと、あの子も楽しそうに笑った。
「だって、一途じゃん。ずっとロミオを想い続けてる」
でもね、
あの子は言葉を続けた。
「あたしは、シンデレラが好き」
「シンデレラ?」
「うん」
王子様と結ばれて、幸せになるじゃない。
あの子はまた笑った。
「ふふ、ハッピーエンドが好きなんだね」
「当たり前じゃん、バッドエンドは悲しすぎるもん」
カラン。
コップの中の氷が溶けて、落ちた。