貴女はシンデレラ、私はジュリエット
 


「そろそろ行こうか、映画が始まる」


そう言って、あの子の肩を抱くあいつ。

あぁ、ほんとに幸せそうで、腹が立つ。

壊して、やりたい。
あいつとあの子の関係を、その笑顔を。
ぐちゃぐちゃに、バラバラに。
ぶち壊してやりたい。





だけど臆病な私には、そんなことできないから。


「…そう、だね。早く行きなよ」


笑う。
全てを隠して、笑う。
あの子に、嫌われたくないから。

これ以上あいつと、離れたくないから。


 
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