貴女はシンデレラ、私はジュリエット
「ほら、」
映画、始まっちゃうんでしょ?
そう言って笑うと、あの子は申し訳なさそうに微笑みながら立ち上がった。
「…ごめんね、我が儘に付き合ってもらっちゃって」
「ううん、いいよ、気にしないで」
本当に、ごめんね。
あの子はそう言って、また笑った。
「ほら、行こう」
「うん」
2人は背を向けて、歩き出す。
幸せそうな2人。
私の大切な2人。
「…行ってらっしゃい」
遠ざかる背中に向かって、私はぽつりと、呟いた。