オルゴール
窓の外は、ベランダ。
「やだ、やだ来ないで……」
「わかったわ、ごめんね。すぐ下へ行くから……」
「や……ダメ、行かないで、ヤダ来ないで、ヤダヤダヤダヤダ!!!!」
「え?ちょ、麗華ちゃん!?」
ドンッ
ビクッ
すぐ耳元で、壁を叩く音がした。
逆の耳元から、いつものあの笑い声。
やだ、来ないで、見ないで、笑わないで、何もしないで、解放して!
「ヤダ――ッ!!!!」
ガチャッ...
「麗華……!!」
ギュッ..と抱きしめてくれる、母のぬくもり。
視界が急にクリアに見えた。
音が、止んだ……。
「麗華、麗華、どうしたの?どうしちゃったの?」