オルゴール
小さな音に、より敏感になってしまった耳。
消えない恐怖。
でも、あの日からお母さんは居間でずっと一緒にいてくれる。
麗菜がいなくても、ほんのちょっとだけ大丈夫な日々を送り、ようやく学校まで来れた。
ただ、登校中にあの視線を感じたら……なんていう恐怖がなかったわけでもない。
背後に人が立つことすら怖かった。
誰かに刺されるんじゃないだろうか?
殺されないだろうか?
ずっと不安だった。
先生に事情を簡単に説明して、一番後ろの窓側の席に変えてもらった。
「麗華ちゃん!」
その時、ひとりの男の子が私のもとに来た。
「麗華ちゃん……学校に来て大丈夫?」
「ちょっとまだ……でも大丈夫だから。ありがとう」
麗菜の彼氏である……彼氏だった、颯斗(はやと)くんだった。