オルゴール
狂い時
『あなたに憎むべき相手はいますか?』
『あなたはどちらの愛を選びますか?』
『あなたはなぜ、そんなに憎んでいるのですか?』
『――そうですか』
『ならばその強い思いを受け取って、私はお手伝いします』
『このオルゴールは、強い憎しみを感じると、自然と音を奏でる仕組みになっています』
『しかし、一度鳴ってしまえばもう、止まりません』
『憎しみを受けると、オルゴールはその対象者の心になります』
『オルゴールが鳴り続ければ、対象者の心は存在し続けます』
『オルゴールが止まれば、対象者の心が止まります』
『オルゴールが壊れれば――』
『でも、出来れば止めないで』
『止めないで。
壊さないで。
それは私の、大事な大事な友達だから……』