オルゴール


姉はこんなに鋭い視線を向けない。

こんなに殺意のこもった視線なんて、感じたことない。

こんなにも……背中にぴったりとくっついて、その視線を向けたりしない。


何よりも……髪がこんなにも長いはずがない。


見たことはないけれど、感じる。

時々手に当たるようにしてフワフワな髪のようなものを感じる。

その時もやっぱり、視線は私の方に向いていて、背中にぴったりとくっついているような感覚がする。

見られている。

……それよりも、監視されているような、四六時中視線を感じる。


背中が、生温かいような感覚もする。

時々、不意に笑い声のようなものまで聞こえてくる。


神経がずっと、緊張したままでいる。

背筋が凍りつくような恐怖心に、夜もあまり眠れていない。


気付けば背を空間に向けることが怖く、常に壁に背を向けて、震えていた。
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