オルゴール


ドアの向こうから聞こえる、心配の声……。


「ここ、お夕飯置いておくから、ちゃんと食べてね?」

「……」

「……麗菜ちゃんだって、こんな麗華ちゃんの姿を見たら、心配で逝くこともでいないでしょう?」


『麗菜』

その名前を聞くだけで、少しだけ安心する。


麗菜、麗菜……怖い、よ……。

麗菜ももしかして、こんなに怖かったの?

だから……あのオルゴールを壊したの?


音を奏でないオルゴール。

でもきっと、壊す前はちゃんと動いていたんだと思う。

なぜだか、そんな気がする。


「何かあったら、ちゃんと言うのよ?」


コツッ...


ビクッ


窓の外から、窓に何かが当たったような音が響いた。
< 9 / 30 >

この作品をシェア

pagetop